裏生徒会部
携帯を受け取る。
「もしもし」
『はい…あの……誰』
まぁ、そうなるに決まってる。
「一ノ瀬柊也」
『俺は栗原 真夜(クリハラ マヤ)……ってえ!?一ノ瀬柊也!?』
なぜか驚かれた。
そして栗原、ってことはまさか…
『姉がいつもお世話になってるみたいで、すみません』
「あ、あぁ…」
やはり、栗原の弟らしい。
『あ、ところで一ノ瀬さんが俺になんのご用が…まさか姉が迷惑をかけたり……』
「いや、そうじゃなくて」
『良かった…』
安心したように呟く。
迷惑は毎日かけられているが…こんな心配性な弟には言わないでおいたほうがいいよな。
「白木悠と吉野正紀って知ってるか?」
『あぁ、はい。悠と正紀なら知ってますよ。どうかしましたか?』
「この2人、仲良いよな?」
『そうですね。傍から見てもそう思います』
仲が良かったのは確かだな。
それじゃあ、缶を投げつけられた悠を心配したりするはず…。
「この2人、何か変わったことあるか?」
『変わったこと…あ。最近じゃ全く話しているところ見てませんね』
「そうか」
『それに悠があんまり元気がない気も…』
「あぁ」
『正紀は変な奴らとつるんでるのを見ます。正紀、そういう奴じゃなかったのに…なんていうかヘタレだったし』
これが今の現状か。
そして、吉野は俺が知っていた吉野と同じようだ。
ヘタレな吉野が岸本達が言っていた不良グループとつるむなんて考えられないな。
でも、脅されているようには見えなかったし…。
ますます、わからなくなってきたかもしれない。
『一ノ瀬さん、どうかしました?』
「いや、ありがとな」
『いえいえ!また何かあったら連絡ください。ちゆに連絡先を聞いといてくれれば』
「あぁ。わかった」
電話を切り、伊藤に返した。