裏生徒会部


伊藤はつまらなさそうな顔をして、携帯を受け取る。


「…なんだよ」

「お兄さん、あたしと話してる時と声が違うなって」


自分的には全く変わっていなかったと思うが。


「もしかして真夜に気があると」

「あるわけないだろ」

「ちぇっ…つまんなーい」


口を尖らせ、机にうなだれる。


「それじゃあな」

「えぇっ行っちゃうのー!?誰か来るまでいてよー!!」


俺の袖を引っ張り、引き止めてくる。

が、こいつの相手をしている暇なんてない。


「俺は用事があるんだ」

「あたしウサギさんだよ!寂しいと死んじゃう!」

「知らねぇよ」


あぁ…本当に変な奴と絡んでしまったな。これは。


「うぅっ…お兄さんはあたしを放って行くのね……うぅっ………」


顔を伏せ、泣いているかのような声を出す。

まぁ、泣いていないようだが。

無視をし、部室を出た瞬間、また腕を引っ張られた。


「泣いてる子放っておくの!?」

「泣いてないだろ」

「なぜばれた…!?」

「下手くそ」

「もーっ!お願いっお兄さん!構って!寂しい!がちで泣いちゃう!」

「……はぁ」


相当な構ってちゃんみたいだ。

部活だし、すぐ人もくるだろうから…いいか。


「わかった。誰か来たら行くからな」

「やったぁー!お兄さん大好き!!」

「抱きつくな……」


< 301 / 739 >

この作品をシェア

pagetop