裏生徒会部
次は生徒会室。
ドアを開けると、香月と仁がとりあえず凄く密着状態でいた。
「一度、出直した方が良さそうですね」
「だな」
「いえ、大丈夫ですよ。続きは後でしますので」
「えっえ!?つ、続きなんてあるんですかっ!?」
香月は顔を真っ赤に染め、仁に問いかける。
それに答えるように、笑顔を向ける仁。
「ところで…何かご用でしょうか?」
メイドがいるため、表モードの仁。
裏を知っていると、あまり聞き慣れない口調と表情が変に思える。
というか、気持ち悪い。
「浅井静音様を探しに参りましたが、ご存じでしょうか?」
「あぁ、浅井さんなら先程ここへ来ましたよ。今どこにいるかは分かりませんが」
「左様でございますか。…それでは次へ」
まだ付き合わなければいけないのか。
メイドは一礼し、生徒会室をあとにした。
「あの方は生徒会長さんなのですか?」
「あぁ」
「静音様がお話をしていた方とは全く違いますね。随分、礼儀正しそうな方でした」
静音が話しているのは裏モードの仁だろうからな。
そりゃあ違うだろう。
「ですが…」とメイドは首を傾げた。
「私的には裏表の激しい方であるように感じられました。雰囲気とか」
「雰囲気…?」
雰囲気は「真面目ですよ」オーラ全開だったと俺は思ったが、どうもメイドにはそう思わなかったらしい。
しかも当たってる。
裏表激しい、その通りだ。
このメイド、鈴菜並みに…いや、それ以上に凄い気がしてきた。
「柊也様は無愛想ですが根は優しい方ですよね」
「さぁ」
「きっとそうだと思いますよ」
優しい、な。
あまり言われたことないし、自分はそう思わないが。
「私はどう思います?」
「……謎」
「謎、ですか。ふふっ…なんだか面白いキャラ設定です」
キャラ設定っていうなよ。
まぁ、ともかくこのメイドには「謎」の言葉が一番似合うな。