裏生徒会部


最初に見えたのは金属バットを手に持った先輩。

その少し後ろの両サイドにサッカー部の人。

あとは知らない人が多い。

先輩が横にずれると、両サイドの人に手を縛られた人の姿。


「柊也!?」「柊也先輩!?」「一ノ瀬先輩!?」


私達、3人の声が響き渡った。

制服は泥などで汚れている。

傷ついた顔で、私達を見た。


「無事…なのか」

「柊也先輩っ!俺らの心配してる場合ですかっ!?」


悠くんが駆け寄ろうとした瞬間、金属バットが床に叩きつけられた。


「動くなよ?今から楽しいことするから…てめぇはそこで見てろ」


確かに、今動いても両手が縛られているから何もできない。

先輩の目は悠くんから吉野くんへと移った。


「吉野、裏切ったお前に一度だけチャンスをくれてやる」

「チャンス…?」

「このバットで一ノ瀬を殴れ。そしたら今そいつらを助けたことはチャラにしてやる」


吉野くんは少しの間固まっていたが、ぐっと手を握りしめ、立ち上がった。

悠くんは目を見開く。


「吉野!!お前、変わりたいんじゃなかったのかよ!?さっきまでの言葉は嘘か!?」

「変わりたい……変わるよ…」


吉野くんは手を後ろにやると、此方に向かってピース。


「あ……吉、野…」


何かの合図。

それだけは分かった。

< 344 / 739 >

この作品をシェア

pagetop