裏生徒会部
神埼の頼みはピアノが弾ける奴に曲を弾いて欲しいとか。
ピアノ…な。
「こんちはーってあれ?なんかいっぱいいる…」
「咲也くん!ちょうどいいところに!」
「え?え?なんですか?」
咲也がなんでここに…
とりあえず絡まれないように寝たふりでもするか。
「ピアノ弾ける人とか知り合いにいない?」
「ピアノ弾ける人って…あ。ほら。柊也、小学校の頃から中学…1、2年の頃まで習ってたから。今も部屋にピアノありますよ。ね!柊也」
寝たふりじゃなくて口止めしてくるべきだった。
確かに本当のことだけど。
余計な事を……
「それじゃ、ちょうど良かったわ!柊也くんに任せるわね」
「本人寝てるし聞いてないんじゃないの?」
「柊也、起きて」
そう言って揺さぶってくる静音。
「……起きてる。聞いてた。嫌だ」
なんでわざわざ俺がこんなことをしなくちゃいけない。
他にも探せばいくらでもいる…
「一之瀬!ちょっと来い!」
「は!?」
向こうの一ノ瀬…分かりにくい。凌久でいいや。
凌久は俺の腕を無理矢理引っ張り、部室の端へと連れて行った。
しゃがませると話を始める。
「同じ一之瀬として協力して欲しいことがある」
「なんだよ」
「お前、あの女が好きだろ?えと…浅井とかいう」
……どうしていきなりそんな話になる。
しかもなぜ、今初めて会ったばかりの奴にそう言われる。
まさか仁の奴が…まぁ、それはないか。
口は固い奴だし、そこは信じてる。