裏生徒会部


凌久の話は続く。


「俺の目は誤魔化せられないぜ」

「そう」

「それで、俺は桜が好きだ」

「…そう」


本当になんなんだ、こいつ。

自分の好きな奴を晒して何がしたい。


「で、だ。お前がピアノの件を引き受ける。そしたら絶対桜は練習に付き合う。ほぼ毎日な」


そこを静音に見せて嫉妬させる。

逆に凌久は静音といて、神埼に嫉妬させたい。

…って話。

まず、静音は嫉妬しない。

これをして得する奴なんていないと思うし、正直何がしたいのかわからない。


「あのな、神埼が嫉妬するとは限らないし、嫉妬したとしても何もないだろ」

「じゃあどうしろっていうんだっ!」

「知るかよ」


なんでこいつのために考えてやらないといけない。

俺だって自分のことがあるのに。


「一之瀬っ!いや、柊也!頼む!一番は桜のために引き受けて欲しい。それに他の男が引き受けたら桜はやられる!」


やられるってないだろ…。


「つーか、気持ちわりぃから放せ。手」

「引き受けたら放す」


握られた手。

引き受けないとずっとこのままって自分も困るだろうに。

周りからも相当引かれるだろ。


「なっ柊也!頼むよっ!」

「………あーもう。わかった。わかったから放せ」


自分でいうのもなんだが親父譲りのお人好しなのか、俺。


「おっしゃあっ!これで一之瀬コンビっ…最強コンビ結成だな!」

「解散しようか」

「えぇっ…」


なんでこいつとコンビ。

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