裏生徒会部


さっきまで座っていた場に戻る。

いつの間にか咲也はいなくなっていた。

…帰ったらシバく。嘘の情報まで言いやがって。


「ってことで、やってくれるって柊也。なっ?」

「そうなの?柊也」

「え。まぁ…うん」

「りっくん、なんて言ったんだ?」

「涼には教えてやんねぇよ」

「柊也くん、凌久が脅したりしたんじゃ…?」

「まぁ、そんな感じでもある」

「ちょっ柊也!桜も俺をなんだと思ってるんだ!」


めんどくさいけど引き受けた以上はちゃんとしないとな…。

つーか弾けるのか自分でもわかんねぇし。

まず咲也の言ってたことは嘘。

ピアノを習っていたことは事実だけど。

習っていた期間は5歳の頃から小学6年までだし。

中学に入ってからは部活ばかりで辞めた。

だからもう4年ぐらい弾いてない。

楽譜は読めるだろうけど…手がついていけるかだな。

部室から講堂へ移動することになり、俺も連れていかれた。


「おー!思ってたより広いなー!」

「僕ももう少し小さいと思ってたけどなー!」

「凌久さん、圭吾さん。走り回らないでください」

「りっくん、けい。こうの言う通りだ。走り回るな」

「涼先輩、言ったって無意味だよ。だってバカだもん、あいつら」


走り回っていた凌久は携帯を手に取り、俺のところへ駆け寄ってきた。


「柊也ー!メアド教えろ。あと携番も」

「ん」

「えーと………一之瀬…しゅうやってどういう漢字?」

「ひいらぎに…っていちのせって一ノ瀬なんだけど」

「え?そうなのか?てっきり俺と同じかと」

「へぇ…俺も凌久と同じと思ってたよ」

「俺も」「僕も」「俺もです」


俺は凌久が俺と同じだと思ってた。

他の皆も集まり、自然な流れで教え合いが始まった。

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