裏生徒会部



「…うん!練習しなくていいってわけじゃないけど、凄いわ!」

「神埼もな」

「私?」

「歌唱力。相当あるな」

「そう?ありがと。まぁ、あの5人には負けるけどね」


あの5人って凌久達のことか…?

神崎より歌唱力あるのが意外だな。

特に凌久。

闇雲に歌ってそう。


「特に凌久ね」


一番、意外な奴なのに。


「凌久がな…」

「歌唱力もあるけど…凌久は気持ちが人一倍込もってるの。歌ってる時の表情はすっごく楽しそうでね」

「気持ち、な」

「そう、気持ち。歌でも楽器を弾くことでもなんでも。気持ちが込もっていないと誰の心にも響かない」

「……それじゃ、俺の音は心に響かないだろ?」


もう聴かせる相手なんていない。

だから辞めた。

今弾いたって昔のような気持ちはない。

ただ弾いているだけ。

楽譜通りに。

何も考えずにただ…弾くだけ。


「…そうね。正直言うと響いてないわ。技術は凄いけど…買うか買わないかってなったら買わないわね」

「だよな」


やっぱり神埼にはわかるのか。

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