裏生徒会部

聴かせたい相手



- 柊也side -


学園祭まであと3日を切ったところ。

静音は伊藤達と何かをやっているようで、毎日依頼をしていた。

そして俺は凌久達と練習。

今日、初めて全員で合わせる。


「いい?ラストの曲が一ノ瀬くんと合わせるの」

「柊也!失敗すんなよな!」

「しない」

「俺は凌久が歌詞間違えそうで怖いんだけど」

「だよな。りっくん、ちゃんと覚えた?」


凌久はそう問われると「うっ……」と目を逸らす。


「おっ、覚えたに決まってるだろ…!」

「「嘘だ」」


俺もそう思った。

凌久って表情に出やすい。

この前なんか「ババ抜きをしようぜ!」と言われ、神埼と凌久と俺でやったものの…

全部凌久の負け。

ほとんどババの場所を教えているような言動をしていた。


「凌久、歌詞を見ながらでいいから合わせるわよ」

「うっ…わかった」

「じゃあ、一ノ瀬くん。お願い」

「あぁ」


結構練習したからもう慣れた。

ソロで順にピアノに合わせ歌い出す。

榊も鬼塚も工藤も山本も、神埼が言っていた通り上手かった。

榊はしっかりとリズムがとれている。

鬼塚は歌唱力が一番ある。

工藤は歌詞に合った声量と表情。

山本は少し声が目立つが、皆より目立ち過ぎないように合わせていた。

そして凌久。

あいつは本当に気持ちがこもっていた。

歌唱力は勿論あり、表情も豊か。


「……うん。おっけー。皆、ばっちりね。本番もこの調子でやりましょう。ってことで解散!」

「よーし!功汰、飯食い行こうぜ!」

「圭吾さんの奢りなら」

「えぇっ僕が奢らなきゃいけないわけ!?」

「けい、こう。俺も行く。そして奢ってやるよ」

「涼先輩が奢ってくれるなんて珍しいね。俺も行こうかな」

「さくらんも行く?」

「えぇ。一緒に行かせてもらうわ。一ノ瀬くんと凌久はどうする?」

「俺は柊也と話があるからパス」


ということは必然的に俺も行かないってことだな。

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