裏生徒会部
吉野の家の前に着くと、小さな子犬が寄ってきた。
さっそくといったようにじゃれだす悠。
「よしよし、たま~」
「悠。何度も言ってるけどポチだから」
この時代、ポチなんて名前を付ける吉野にも驚くが…
それ以上に、俺の服を掴み、後ろに隠れている凌久に驚く。
なんだ、このデジャヴ感。
まさかとは思うけど…
「凌久、犬が苦手なのか?」
「べ、別に噛まれそうで怖いとかっ…そ、そそんなことねぇからなっ!!」
「あーはいはい。怖いんだな」
「違うっ怖くなんかないっ…うん……」
本当、素直な奴。
じゃれていた悠の手は止まり、顔をこっちに…正確に言うと凌久の方に向け、ニヤリと笑った。
今からの展開が物凄く読めるんだが。
「凌久さーん。見てください、可愛いですよー♪」
「だっ…ち、近づけるなっ!!」
「どうしてですか~?やっぱり怖いから?」
「ここ、怖くなんかないっ…!!」
「じゃっ大丈夫ですよねー♪」
完全にスイッチONだな。
俺の周りをぐるぐると回る。
「先行くぞ。じゃぁな、吉野」
「はい、また明日」
「しゅ、柊也っ助けろっ!!」
「嫌だ」
「柊也先輩~凌久さんを捕まえてください」
「嫌だ」
「っていうか悠っ!ポチを持って帰らないでっ!!」
吉野と別れ、また家へと向かう。
途中の河原で「俺は遊んで帰るんで」と悠とも別れた。
凌久は追いかけ回され、疲れておとなしい。
やっと静かになったな。