裏生徒会部
車から降りて鬼塚さんはすぐに目の前の店へと走っていった。
それを見た工藤くんは「あぁ…」と納得したように声を漏らす。
「えーっと…?」
「ごめんな静音。これは涼さんを止められない」
どうやらこの小さな市場では「カネコさん」というマスコットキャラのグッズが売られているようだ。
鬼塚さんは可愛いものには目がないようで、その中でもカネコさんが大好きらしい。
あだ名つけることが癖だったり、可愛いものが好きだったり…
鬼塚さんのギャップは凄いや。
「こんな店が開かれてるなんて…!!」
鬼塚さんは目をキラキラと輝かせながら、1つ1つグッズを手に取り、見つめている。
というか反対車線にあったこの市場によく気づいたものだ。
「涼さん、早くしないと行くの遅れるぞ。静音もいるんだからさ」
「わかってるわかってる」
そう言ってはいるが、まだグッズを手に持ったままその場を離れそうにはない様子。
相当、このキャラクターが好きなんだ鬼塚さん。
確かこのカネコさんってゆるキャラ的な感じで最近人気だっけ。
可愛いというか……うん。
「すーずーむーさーんー」
「…わかったよ」
今度のわかった、は本当にわかった、のようで2つ同じキーホルダーを持ち、レジの方へと向かった。
「はぁ…涼さん聞いてくれて良かった。放っておくと日が暮れるからな」
「そんなに好きなんだね。だから2つも同じの買ったのかな」
「いや多分、凜ちゃんにあげるんじゃないかと」
「凜ちゃん?」
「あ。涼さんの妹」
兄妹揃ってカネコさん好きなんだ。
ていうか、鬼塚さんの妹って…相当可愛いんだろうな。
鬼塚さんが戻ってくるとまたすぐに月桜へと向かった。