裏生徒会部
部屋の前に着き、いつものように鍵を回す。
が、ドアは開かない。
「どうしたの?」
「いや…確かに鍵閉めたはずなんだけどな」
そうしてまた鍵を回すと、ドアは開いた。
閉め忘れ、ということはない。
行く前にまず、咲也がちゃんと閉めて出ているか確認している。
その後には一応、自分の方も確認するからだ。
「泥棒…とか?」
「それはないだろ」と否定したいところだったが、目の前の状況からそれは無理になった。
むしろ肯定へと変わったのだ。
玄関からリビングへと続く廊下は靴跡が。
どうやら土足であがっているようだ。
咲也もそれに気づいたのか、小声になる。
「しゅ、柊也どうする…?警察呼ぶ?」
「とりあえずは部屋の中を確認してからだな」
靴を脱ぎ、向かおうとした時、ガチャガチャとリビングから物音が聞こえた。
クロなのか、それとも土足で人の家に入った泥棒なのか。
確かめるためには行くしかない。
「お、俺が柊也守るから!」
「守らなくていいから。凶器とか持ってたら逃げろよ」
「にゃー」
「え、クロ?」
リビングではなく、風呂場の方から出てきたのはクロ。
つまり、リビングからした物音はクロではなく、泥棒ということになる。
これは警察を呼んだ方がいいのか?
でもただ物音がしただけ、ってなると…な。
「……ん?あれ?なんかいい匂いしない?」
そう言われ、匂いを嗅いでみると確かにいい匂いがする。