裏生徒会部
仁は俺の襟から手を離し、咳払いをした。
「…一ノ瀬くんやっと取れましたよ、ほら」
そうして何かを摘まんでいるかのような手の形をし、それを俺に見せてくる。
が、どう見ても何も摘まんではいない。
悠はじっと仁の手を見ると笑う。
「よ、良かったですねー柊也先輩!なんかよくわからないゴミが取れて!粘着力凄かったですもんね!」
なんだ、よくわからない粘着力の凄いゴミって…
誤魔化すにも程がある。
悠と仁は「ははは」と謎の笑い声を出しながら、女の顔を窺った。
女はなんとも言えないといった顔でじっと見ている。
「えーっとさぁ行きましょうか。柊也先輩、仁先輩」
「そうですね。早く講堂へ行きましょう」
もう逃げる気満々だ。
仕方ない…俺も戻るしかないか。
そう立ち上がった瞬間
「ちょっと待ってください」
と女が声をかけた。
そりゃあ流石にこれはバレただろう。
「先輩…浅井静音先輩はどこにいるんですか?」
「「え?」」
まさかの質問に悠も仁も声を揃えた。
今までの事はスルーで、まさかの静音の場所を尋ねるだけとは思ってもいなかったからだ。