裏生徒会部
悠くんは此方に向けて本を差し出す。
「静音先輩も読んでみます?」
「いいのかな勝手に借りて」
「いいですよ。柊也先輩のだし、貸す相手静音先輩だし」
読んでみたかったし…借りよう。
柊也にはあとでお礼を言えばいいかな。
本の裏面を見ると、あらすじが書いてある。
一般的なあらすじよりは少し長め。
病を患ってずっと入院をしていた主人公の女の子が、悔いのない人生を送る為に病室を抜け出して……
「えっ…ちょ、静音先輩!?まさかあらすじだけで感動したんですか!?」
「え?」
頬を触ると冷たいものに触れた。
感動…っていうのもあるけど、きっとあの人と重ねてしまったからだ。
「静音先輩ってほんと純粋ですねー。あ、そうだ俺、飲み物買ってきますから読んでていいですよ。ココアとかでいいですかね?」
「あ、うん。ありがとう」
鞄から財布を出そうとすると、悠くんに手首を握られ、阻止される。
「今回は俺の奢りで。いってきまーす」
梯子を使わず、飛び降り、急ぎ足で出て行った。
今度はお返ししなきゃ。
…とその前に涙を拭こう。誰かにでも見られたら恥ずかしいし。
「先輩…?」
そう声が聞こえ、顔をあげると柚希ちゃんがいた。
私と目が合うなり、凄い勢いで梯子を駆け上がってくる。
「ど、どうしたんですか!?ついさっき白木くんとすれ違いましたがまさか白木くんがなにかしたんじゃ!?」
「落ち着いて柚希ちゃん、大丈夫だから…!」
とりあえず顔が物凄く近い距離なので離れて欲しい。