裏生徒会部
それぞれの共通点
- 柊也side -
封筒を開けると、1枚の手紙が入っていた。
手書きではなく、印字だ。
そして差出人の名前は一切載っていない。
『浅井静音は預かりました。
これは最後の警告であり、チャンスです。
これ以上、浅井静音には関わらないで下さい。
どうしてもそれが守れない、取り戻したいのであれば深夜2時にこの学校へ来て下さい。
1人で来ること、これが絶対条件です。
ただ、命の保証はありません。
p.s誰かに漏らした時点でゲームオーバーです。』
と、書いてある。
ただの悪戯だと思いたいところだが、今日は静音の姿を見ていない。
絞るとしたら、月桜に出入り出来る奴。
そして俺と静音を知っている奴…だな。
月桜は入口に警備員がいて、許可がないと入れない。
防犯カメラも結構あるし、外部の全く関係のない人間がやる可能性は低いと思う。
「柊也様、どうされたのですか?」
「ん?」
顔をあげると、立っていたのはメイド。
静音は一緒にいないようだ。
先程の手紙を折りたたみ、すぐにポケットへとしまう。
「なんですか?もしやラブレターというものでしょうか…柊也様モテモテですね」
「違う」
淡々と喋るメイド。
やっぱりどうも苦手だ。
というか、静音が仮にこの手紙の主に連れ去られてるとして、メイドや家族にはどう話せばいいのか。
p.sのところには漏らせばゲームオーバーと書かれているし。
「静音を迎えに来たのか?」
「はい。ですが、静音様はどうやらもう帰られたようで、すれ違いとなってしまいました」
「帰った?」
「はい。先程、メールが来まして本日は茜様のお家に泊る、と」
茜…って確か静音と鈴菜の友達だったな。
体育祭の時に部活のリレーを一緒にやった奴。
咲也と同じバスケ部だったはず。
メイドにそんなメールが来ている、ということはやっぱりこれは悪戯なのだろうか。
俺にこんな手紙を書いて、どうなるんだ…。
「柊也様?難しい顔をされていますが、何かあったのですか?」
「いや…」
もう一度、上靴を履き直し、体育館へと向かう。
一応、確認をしといた方がいいかもしれない。