裏生徒会部


体育館へ着くと、部活は終わったのか片づけが行われていた。

その中に茜の姿はない。

もう静音と帰ったのか?


「あ!また柊也だー!!」


モップを放り投げ、こちらへと全力で走ってくる。

こいつの俺をすぐ見つける能力はなんなのだろうか。


「次は何なに?一緒に帰るために来たの?俺片づけあるから少し待ってもらわないと…」

「違う」

「違うの!?」


自分のいいように解釈をし、話を進めるのもどうにかして欲しい。


「茜って奴はもう帰ったのか?」

「え。茜先輩?茜先輩ならまだ部室にいると思うけど…ちょっと待ってて」


咲也は走って、体育館の奥へと去って行く。

もし、まだ部室にいたとなれば話が変わってくる。

まぁ静音も一緒にいてくれればいいんだが。

しばらくすると、茜の手首を掴み、咲也が戻ってきた。

静音はいない。


「柊也ー連れて来たよ」

「え。あたしに用があるって一ノ瀬?なんの用だ?」


用のある人物が俺だったことが意外なようで、驚いたように首を傾げた。

静音や鈴菜の友達といっても話す機会なんてないしな。


「静音は?」

「静音?知らないけど部活じゃないのか?一ノ瀬も同じ部活じゃなかったっけ」

「なにか連絡とかないのか?お前の家に泊るとか」

「あたしの家に?いやそんな約束した覚えはないし、連絡もないけど?」


この様子となると、これは悪戯ではないのかもしれない。

メイドにメールを送ったのは静音ではなく、静音を連れ去った奴…か。


「おい、一ノ瀬。静音がどうかしたのか?」

「いや、なんでもない。鈴菜と勘違いした。じゃあな」

「はぁ…?」

「変な柊也ー」


これは警察に連絡いれた方がいいのか?

だが、漏らしたらゲームオーバー…

静音の居場所がわからない以上、下手にこの手紙の主に逆らうのもやめた方がいい気がする。

それに、深夜2時に月桜に行けば何かわかるかもしれない。

まぁ、命の保証はないと書かれているのが気がかりだが。


「行くしかないよな…」


これで何もなく、火曜日に静音がいなかったら警察に連絡をいれてみよう。



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