裏生徒会部
歩いてきた方向へと戻るいつき。
立ち止まり、目線だけをこちらへと向ける。
「皆さんもこれ以上行くのはやめた方がいいです。まぁ、若のように無理矢理連れて帰りはしませんが。よく考えられた方がいいかと」
確かにいつきの言ってる事はわかる。
ここまで来るのに仕掛けはどんどんエスカレートしていっていた。
そしてさっきは本物の矢が飛んでくる始末だ。
となると、この先は危険だってことはほぼ間違いない。
「いーつーきーおーろーせー!!!俺様は静音を助けるまで帰んねーぞ!!」
「……王子。これ以上、俺を困らせないでください。
怪我どころか最悪死ぬかもしれないんですよ?貴方はもっと自分が王子であることを自覚し」
「じゃ、俺様は王子とかやめる」
「はい?」
暴れるのをやめたかと思えば、突然の発言をする一に固まるいつき。
「大事な奴助けれねーで自分のこと守るしかできねーとかバカみたいだ。やってらんねー。早くおろしてくれ」
「何をおっしゃっているんですか。王子といえどそんな命令は聞けません」
「だから王子やめるって。命令じゃなくて友達としての頼みだ」
いつきは黙ったまま動かない。
すると、隣で「やれやれ」と溜め息が聞こえた。
「いつき、おろしてやれよ。一とは友達だろ?」
「………」
「一の友達はいつきだけじゃねぇ。ここに3人もいる。まぁいつきの友達でもあるけどな」
「仁…お前、俺様のことをそんな風に……うぅっ…」
「俺も柊也も悠も、そこのバカを怪我させずに無事帰れるように協力するから。な?」
「それにいつき先輩がいないと俺ら進めそうにないんで一緒に来てほしいです。
勿論、バカな先輩のお守も協力します。ねー柊也先輩」
「まぁ、バカのお守は慣れてるしな」
主に咲也。そして凌久とか中西とか。