裏生徒会部


とりあえず、まずは柊也の誤解を解いてあげよう。


「あ、あとね柚希ちゃん。私は見てないけど、多分栗原さんが柊也を押し倒したんだと思うよ。いつもそんな感じだから」

「え…いつもなんですか!?」

「うん。いつもそんな感じだよ」


初めて会った時からいつものことだ。

柊也が栗原さんを押し倒すなんて可能性はほぼ0%だろう。

毎回嫌そうな顔してるし。


「で、ではいっちー先輩は何も悪く…ない……ですね」

「おい待て。俺だって静音に何もやってねぇ」


先程まで黙っていた仁が口を開く。

仁は私にキスを無理矢理したって言われてたっけ。

そんな覚えは全くもってないんだけども。


「いつの事がずっと思い出していたが、さっきの動画。それ静音に目薬をさしてやってる時だな」

「目薬…ですか?」

「あぁ。こいつすげぇ下手くそだったから俺が差してやってたんだよ。なぁ、静音?」

「あ、うん。差してもらったよ」


そういわれるとあの動画から聞こえて来た会話の内容は、目薬を差してもらった時の会話だ。

傍から聞くと誤解を招きそう…いや実際招いていたようで……恥ずかしい。


「そ、そうなんですか…!?」

「じゃ次は俺で。図書室で泣いてたの俺が泣かしたわけじゃなくて、静音先輩が本を読んで泣いただけだから」

「本を読んで…?」

「最近、話題になってる本あるだろ。それ」

「あはははは……はい。恥ずかしながらその通りです…ね」

「それに追い払ったつもりはないし」

「えっ……と…そんな……」


柚希ちゃんはすとんと力が抜けたように座り込んだ。


「あの……私は…誤解をしていた、ということでしょう…か……」

「そうだな。俺は静音に無理矢理キスなんてしてねぇし」

「泣かせてませんし」

「付き合ってもない。栗原を押し倒してもない」


柚希ちゃんは顔を両手で押さえる。

というか柚希ちゃんが私を攫って、柊也と悠くんと仁を呼び出した理由は…もしかしてこれ?


「……ご、ごご…ごめんなさい!!私の勝手な思い違いで皆さんを……」

「ね、ねぇ柚希ちゃん。どうして柚希ちゃんは私の為にこんなことをしたの?私、柚希ちゃんと会ってそんなに経ってないし…」


これが一番の謎。

そんなに関わったことがない…まぁ極端に言うと初対面の赤の他人の為にこんなことをする理由がわからない。


「それは……そうですね。先輩は覚えていないと思いますが、私は先輩に助けて頂いたんです。あの日…」

「あの日……?」



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