裏生徒会部


今から約3年ほど前。

私は中学2年生で、柚希ちゃんは中学1年生だ。

季節は夏。ちょうど夏休みが近付いている頃。

柚希ちゃんはいつもの通学に使う駅にいた。

いつもと変わらずホームの黄色い線より内側に立つ。

次に来る電車は快速。

この駅は普通しか止まらない為、まだ時間はある。

だが、座らずに立って待った。


「…綺麗」


空は雲ひとつない青空だ。

生ぬるい風が吹く。

暫くすると、足は無意識に…

いや、意識的に段々と前へと進む。

遠くからは踏切の音が聞こえる。

前へと進むにつれて、電車の音は近くなっていた。

目を瞑り、線路へと身を投げ出そうとした瞬間、両腕を強く引かれ、またホームへと戻される。

そして目の前を電車は通り過ぎた。


「おい何やってんだよ!?」

「よ、良かった…。大丈夫?怪我はない?」

「…は……い…」


ベンチまで引かれ、強制的に座らせられる。

そして男は目の前に立つと、こつんと軽く頭を叩いた。


「いたっ…!!」

「ちょ、ちょっと要くん!?駄目だってそんなことしちゃ」

「こういう大馬鹿にはちょうどいいんだよ。静音にもやってやろうか」


そうにっと笑う。


「久しぶりに会ったのに叩かれたくないよ…!!」

「じゃ撫でてやろうか」

「っ…!?こ、こんなところで…そういうのは……!!っていうか、今は私と話してる場合じゃないでしょ…」

「あ。そうだった」


また柚希ちゃんの方を向いた。



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