裏生徒会部


皆がトランクに荷物を積み始める。

辺りを見渡すと、少し腰を屈ませ、キョロキョロと何やら警戒している様子の一くんを見つけた。


「一くーん!!」


大きな声で呼んでみると、一瞬びくっとなり、顔の前で人差し指を立てる。

呼んだらまずかったのかな。

また周りをキョロキョロと見て、小走りで此方へと向かってきた。


「おはよう。静音、アッキー、奏十」

「おはよ」

「おはよう、一くん」

「おはよう、若。こんなギリギリまでどこ行ってたの?まさか遅刻?」

「いや。それがな…」


一くんはきちんと集合時間の30分前には来ていたらしい。

そして問題はここから。

班で行き先を決めた後、いつきくんがやっぱり心配して先生に班替えを頼もうとしたそうだ。

だけど一くんはそれに反対。そして嘘までついた。

いつきくん達2組の行き先は北海道。そして私達は京都。

これを知られたら確実に班替えをさせられると察知した一くんは


「俺様も行き先は北海道だから」


と言い、なんとか班替えを阻止した。



< 597 / 739 >

この作品をシェア

pagetop