裏生徒会部


津野はソファへと近づき、後ろ側を覗く。


「ゆっきー。なんで隠れてるの?」

「わっ!?え、えーっと…あははははは……」


恐る恐るソファの後ろから出てくる。

俺と目が合うと、バツが悪そうに目を逸らした。

そして手で髪をくるくると回す。


「さ、さっきの会話…聞こえた…よね?一ノ瀬くん」


月桜の制服。先程の咲との会話。ゆっきーというあだ名。

眼鏡は掛けていないが、間違いなく星野だ。

恐らく先程の会話のせいでぎくしゃくとしているのだろう。

まぁ、俺は別になんとも思っていないのだが。

というより、学校の時とは違う印象で、そっちの方が気になるくらいだ。


「聞いたけど気にしてない」

「え、えっと…そっか。ごめんね……」

「もしかしてゆっきーの言ってた男子って柊也くんなんだ?」

「うん…そう…」


苦笑いをし、落ち込む星野。


「総長ー!嵐さん来ましたよ。始めましょう!」

「おう、そうだな。じゃ、準備しろ」


がやがやと騒ぎながら何かの準備を始める不良達。

そういや俺は何をさせられるんだ。

呼びだしておいて遅れて来た嵐に聞こう。


「あっ!嵐ちゃん嵐ちゃん。柊也くんと組むんだって?」

「そうだけど」

「お願いがあるんだけど、あたしと代わってくれない?柊也くんとあたし。嵐ちゃんとゆっきーってことで」

「え。嫌」

「ありがとう!流石嵐ちゃん優しい!ってことで柊也くん道具取りに行こう」

「えっ!?ちょっ…いいとか言ってない!」


嵐の言葉を無視し、俺の手を引っ張り道具の置かれているところへと走る咲。

強引にも程がある。



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