裏生徒会部
気が付けば迷子
- 静音side -
1日目は京都までの移動と全体行動で終わった。
今日は2日目でやっと自由行動だ。
一くんがたくさんお寺を回りたいらしく、結構ハードなスケジュールになってしまったけど楽しみ…
「早く出ないと時間がどんどんなくなるんだけどなー」
「仁の奴め…俺様の超楽しみな自由時間を……!」
「仁置いて俺らだけで行くか」
「いやいや、仁が一応班長だからそれは駄目でしょ」
…にしていたのだが。
予想通りというかなんというか、仁は女の子達に捕まってしまった。
央は少し苛立っており、一くんは「早く行きたい!」とムズムズしている。
奏十に至っては置いて行く気満々だ。
私も若干置いて行きたい気持ちはあるが、所々にいる先生に全員揃っているかを見られる為、それは無理。
特にお寺とか観光スポットになっている場所は確実にいるだろうし。
4人全員で仁へとずっと視線を送っている。
それに気付いてはいるが、「どうにも出来ない」と言ったような顔を見せた。
「どうする?誰か犠牲になる?」
「犠牲になる…?どういうことだ?アッキー」
「無理矢理あの中から仁を引っ張ってくるってこと」
「えっ…」
一くんの顔は引きつる。
あの集団の中に潜り込み、仁を引っ張ってくるのは中々大変だ。
特に引っ張って出た後。
確実に数名には睨まれるだろう。
考えてるだけで恐ろしい…。