裏生徒会部


仁はまず、携帯を取り出し、一くんに電話を掛けた。

出なかったのか、もう1度掛けるが、また出なかったみたい。


「出ねぇな」

「もしかして若も携帯忘れてるの?」

「ううん。朝会った時、いつきくんと電話してたから持ってると思うよ」

「じゃ、なんで出ないんだろ」


そういえば前にいつきくんが言っていた気がする。

『若は夢中になると周りが見えなくなるタイプなんです』とか…。

今まではいつきくんが一緒にいて、その点をフォローできてたから良かった。

でも今は多分、いつきくんがいない上、スタンプラリーに夢中で気付いていないんだろう。

人もたくさんいて、着信音も聞こえにくそうだし。


「俺と央でスタンプが置いてあるとこまで見に行ってくるから、奏十と静音はここら辺を捜してみてくれ」

「うん、わかった」

「そうだね。見つかったら連絡するから、奏十はちゃんと携帯チェックしてね」

「りょーかい。こっちも見つけたらすぐ連絡する」


仁と央は、お寺の奥へと向かって行った。

こういう時に仁は素早く指示できるところはやっぱり凄いなと思う。

それに央と奏十も連携が取れるし、月桜の大人数をまとめられるだけはある。

人をからかわなければ文句なしなんだけど。



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