裏生徒会部


お姉さんは歩いて15分くらいの近くの旅館に泊っているらしい。


「どうしてこんな体調なのに外へ?」

「お土産を買いに来たのよ~。一番近くてたくさんお土産があるのってあそこのお寺だからさ」


お姉さんの話によると、お姉さんは7人兄弟らしい。

14歳の次男くんは本当は今日私達と同じで、修学旅行で京都に行く予定だった。

だけど、熱が出たらしく、家で寝ている。

次男くんはとても楽しみにしていたようで、更にその下の妹や弟達も次男くんのお土産を楽しみにしていた。

それで、次男くんの代わりにお姉さんが写真撮りとお土産を買いに京都へと訪れたようだ。


「私ね、弟や妹達の為に出来る限りのことはなんでもしたいの。…そう決めたのよ」


お姉さんはどこか悲しげな表情で真っ直ぐ前を向いたまま言った。


「まぁ、弟の熱がうつっちゃったみたいでこの有様だけどねぇ~」


そう言って笑うと、なにかに気付いたのか立ち止まり、ポケットに手を入れる。

取り出した携帯はヴーヴーと鳴っていた。



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