裏生徒会部
先程の一くんの着信履歴は何も見なかったことにして…
仁と会わずに修学旅行を終えたいところだけど、そんなことは到底無理だ。
もう腹をくくるしかない。
「電話…しよう」
「ま、まじかよ!?俺様がか!?」
「私が電話してもい」
「お願いします!!」
頼むの早いな…。
一くんから携帯を受け取り、恐る恐る通話発信ボタンを押す。
隣で一くんは手を擦り合わせ、祈っている。
どうか…どうか仁がご機嫌でありますように。
『もしもし?』
神様は私と一くんの味方をしてくれたのか…
仁の口調はとても穏やかだ。
てっきり、出た瞬間から怒鳴られると身構えていた。
これなら、安心して会話ができる。
「もしもし、仁。静音だけど」
『しずっ…浅井さんですか?ということは、如月一くんもご一緒で?』
「う、うん。一くんも一緒にいるよ」
ちょ、ちょっと待って。
浅井さん?如月一くん?それに敬語?
安心するのは早すぎたのかもしれない。
嫌な予感しかしない。
『……えぇ。2人一緒にいらっしゃるようですので。………はい』
どうやら、誰かと話している様子。
口調的に先生かな。