裏生徒会部


静音は少し前に出ると、顔だけを此方に向ける。


「もう、央。私行くから。柊也巻き込んじゃ可哀想でしょ」

「えーそう?」


と言いつつ、静音は中々それ以上前には進めないでいる。

どうしてこいつはこういう時に限ってじゃんけんに負けるんだか。


「あーあ。静音ちゃん、絶対仁の取り巻きに恨まれるだろうなー。特に女の子だし。可哀想だなー」

「………」


可哀想、とは全然思っていないような口ぶりの央。

そしてわざとらしく、「ねー柊也」と俺に問い掛けてくる。

まぁ、仁の周りの女子に恨まれるのは間違いないだろう。


「俺が仁を連れ出してやるから向こう行っとけよ」

「えっ!?でも…」

「いいから。俺は気にしないし」

「ありがと、柊也。ごめんね。央に何か言われたんでしょ?怒っておくから」

「そうしてくれ」


仁は俺と目が合うと驚いた顔をする。

まさか俺が来るなんて思ってもいなかったからだろう。

手を伸ばし、仁の手首を掴むと、そのまま集団の中から引っ張り出す。


「ちょっと仁くん!?」「間くーん!?」


その勢いのまま仁を連れ出し、静音達のいる所へと突き出した。


『柊也!ありがと!!』


そう言って、静音達はその場から逃げるように走って行った。


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