裏生徒会部


悠くんは私の顔を見ると、首を傾げる。


「どうしたんですか?」

「それが……」


私は悠くんに正直に話した。

今とは正反対の弱気で地味だった笹島さんを…

あんなにかっこよく、自信あふれる笹島さんにしたのは私ではないことを。

そう、あの時の私は自分から笹島さんを変える、なんて言っておいたくせに、忙しく…

9割方、嵐ちゃんと伊織くんに任せっきりだった。

そしていつの間にか笹島さんは別人となって、私の前に再び現れたのだ。

だから、どうやって笹島さんをあんな風に出来たのかは知らない。

聞こうと興味を持っていたけど、忘れてたし…。


「えぇっ…まじですか」

「まじです。ごめんなさい」


あんな期待された目で見られたら、正直な事も言えないし、断れないよ。


「っていうか、嵐ちゃんってあの夏フェスの時の不良ですよね」

「うん。そうだよ」

「よくその不良が話を聞いてくれた上に協力してくれましたね」


あれは無理矢理連れてきた双子ちゃんと仁の「あんまん」効果だったからなぁ…。

今、少しは仲良くなったとはいえ、嵐ちゃんは「面倒だから嫌」と断るだろう。

となると、伊織くんに協力してもらうしかない。

あんまり話したことないけど…最後の望みだ。


「とりあえず、嵐ちゃんは無理そうな気がするから、伊織くんのところに行こう」

「伊織って早乙女伊織ですか?」

「うん。悠くんひょっとして友達だったりする?」


悠くんが伊織くんと友達だったら、協力してもらえやすいかも。


< 688 / 739 >

この作品をシェア

pagetop