裏生徒会部
生徒名簿で調べ、伊織くんのクラスの7組へ。
教室の前で、ギターを背負った女の子が中を覗いていた。
ギターの方が大きく見えるくらい、小さな女の子。
「緒方くん、まだですかー?」
『ちょっとぐらい待ってってー玲奈っち』
「遅すぎです!響くんと千鶴ちゃんはもう行ってしまいましたよ!」
『皆、先輩が久々に来るからって張り切りすぎなんだよーっとあったあった』
どうやら教室の中にいる子と話している様子。
「こんにちは、玲奈ちゃん」
「ふぇっ?あ!静音さん!こんにちはです!」
元気な笑顔で挨拶を返してくれた玲奈ちゃん。
前に「ギターのピックを失くしてしまったから捜すのを手伝って欲しい」という依頼を受けたことがある。
私が見つけたが、体調が悪くなり、代わりにそれを渡してくれたのは柊也。
そういえばあの時も柊也優しかったな…。
普段無愛想なくせに、体調悪かったりすると心配してくれる柊也はずるい。
「文化祭の時、軽音部が凄かったって聞いたよ。残念ながら私は見れてないけど…」
「俺も聞きましたね、軽音部が凄かったって。なんか凄く歌の上手い人がいたとかなんとか」
「そうそう。私もそれ聞いた」
歌っていたのは赤いニット帽を被り、黒髪でオッドアイの男の子と聞いた。
一時期その子の話題で盛り上がってたなぁ。
しかも、その子を捜してもどの学年にもクラスにもいないらしい。
そこで、捜すのを手伝って欲しいという依頼が来たこともあった。
今は大分、その子の噂は落ち着いているみたいだけど。