裏生徒会部


放課後になり、すぐに伊織くんのクラスへ。

教室を出る人のいる中、机に向かって勉強をしている伊織くんの姿があった。


「伊織くん、ごめんね。待っててもらって」

「あ、静音さん。お久しぶりです」

「久しぶり。入ってもいいかな?」

「どうぞ」


伊織くんは前の席の椅子を引いてくれる。

私はその席に座り、伊織くんの机の上に置かれたノートに目を向けた。

2冊あるノートは全く同じ内容で、同じ字だ。

1冊は書きかけのため、どうやら先程まで書いていた様子。

どうして2冊も同じ内容のノートを作っているんだろう。


「これ、両方とも伊織くんのノートなの?」

「あー、いえ。こっちは嵐のですよ」


書きかけのノートを指差す。

嵐ちゃんのノートをどうして伊織くんが…


「どうして伊織くんが嵐ちゃんのノートを?」

「嵐が授業サボった分を俺が書いてるんです」


前のページを捲ると、伊織くんの字とは違う字で書かれてある。

多分、これが嵐ちゃんの字。


「まぁこれでも前よりは出席するようになったんですけどね」

「嵐ちゃん…」


ノートを見る限り、伊織くんの字で書いてある割合の方が多い。


< 714 / 739 >

この作品をシェア

pagetop