裏生徒会部


屋上に着き、ドアを開けた瞬間、冷たい風が吹く。

防寒対策をしているとはいえ、何にも覆われていない、顔や膝の部分に当たるととても寒い。

やはり、辺りを見渡してみても、嵐ちゃんらしき人物どころか、人1人もいない。

東の方の屋上って言ってたけど、本当は西の方だったとか?

目を凝らし、西の方を見てみるが、誰かがいる様子はない。


「…静、ここ」

「え?」


そう頭上から声が聞こえ、顔を上げると、塔屋に座っている嵐ちゃんがいた。

鼻と膝は赤く、吐く息も白い。

長い黒髪は風で靡いている。


「あたしに用事があるって伊織から聞いたけど」


伊織くんに説明した内容を同様に嵐ちゃんに説明する。

すると、嵐ちゃんも「あぁ…あったね、そんなこと」と思い出したかのように声を出した。


「あの時は毎日慎二を溜まり場に通わせて、慣れさせた」

「溜まり場って…まさか?」

「うん。不良がいっぱいいる所。あたしより面悪そうな奴ばっか」


さ、笹島さん…

嵐ちゃんを見て、あんなにびくびくと怯えていたのに、更に不良がたくさんいる溜まり場に連れて行かれてた、なんて。

しかも毎日。


「あと度胸つけるために毎日1人ずつ腕試ししてた」

「え。腕試し…?」

「んーまぁ、軽い喧嘩みたいな感じ」


笹島さん…そんなことを毎日していたの。


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