裏生徒会部


嵐ちゃんによると、笹島さんは空手と柔道の経験者だったようで…

あとは自信と度胸をつけただけ、らしい。


「まぁ、あれだ。慣れってやつは大事」

「慣れ、ねぇ…」

「それに慎二の性格が変わったわけじゃない。慎二は自信と度胸がついただけ」


確かに…少し口調が変わった感じはしたけど、笹島さんが急に怖くなったりしたわけではない。

笹島さんが言っていたように、昔の…栗原さんが変わる前の笹島さんに戻っただけだ。


「何かヒントになった?」

「うん。ありがとう、嵐ちゃん。あ、そういえば伊織くんが教室で待ってるって言ってたよ」

「伊織が?教室か……」

「うん。…それにしても、寒くないの?」

「…寒い」


やっぱり寒いんだ。


「どうして寒いのに屋上にいたの?」

「……待ってたから」

「待ってた?誰を?」

「伊織」


どうやら嵐ちゃんは、伊織くんが私を待つために教室に残ることを知り…

その用事が終わるまで屋上で待っているつもりだったらしい。

理由を聞くと「一緒に帰るため」とそっぽを向きながら小さな声で答えた。

普段、クールな嵐ちゃんだが、そんな照れたような顔を見るのは初めてだ。

…可愛い。

もしかして、嵐ちゃんって伊織くんのことが好きなのかな。


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