裏生徒会部


それにしても、待つのであればわざわざ屋上じゃなくても、中にいればいい気がするが…。


「どうして中で待たないの?屋上寒いのに」

「屋上は誰もいないから。皆はあたしを怖がってるから、屋上の方が落ち着く」

「…いつもいるの?」

「うん。大体いつも」


嵐ちゃんは私でも噂を聞くほどの不良女子だ。

周りから視線を浴びて、気になるだろう。

だから「教室で伊織くんが待ってる」と言った時に少し嫌そうにしたわけだ。

伊織くんは1年生の中で結構人気があるからなぁ…。

視線は更に増すだろう。

実際に話すと、怖くないし、クールだけど人懐っこくていい子なのに。

私は上に、嵐ちゃんに向かって手を差し出す。


「嵐ちゃん。次からは裏生徒会部の部室においで。私はいつでも大歓迎だよ」

「…いいの?あたしが行ったら、誰も来なくなるかもよ」

「いいよ。嵐ちゃんが来た日は部活を休みにする。その方が嵐ちゃんもいいでしょ?」


嵐ちゃんは、少し微笑むと、私の手を軽く握った。

そのまま、ぴょんと飛び降りる。


「静って変わってるよね」

「う、うーん……そうかな…?」

「うん。変」


変って…。

なんかよく言われている気がするけど、私ってそんな変人なわけ?

嵐ちゃんはドアノブを握り、此方を振り向く。


「静。…教室までついて来てくれる?」

「勿論!」


私は笑顔で答え、嵐ちゃんの後をついて行った。


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