裏生徒会部
笹島さんは私と初めて会った時、
「え。なんでこんな人がこんな美人さんと付き合ってるの!?」
と失礼ながら思ってしまう程の外見…
ボサボサの黒髪に謎の大きいぐるぐる眼鏡を掛けた人だった。
それが、今は伊織くんの手により、髪はさっぱりと切られ、明るく爽やかな印象を与えるようにみえる金髪に近い茶髪。
この外見の時点で、笹島さんの変身度は天と地ほどの差が生まれた。
次は性格だ。
笹島さんは不良といえど女の子の嵐ちゃんを見るだけでもおどおどと怯え、私や仁の後ろにすぐ隠れていた。
それに口調も自信が無さ気でネガティブな発言も多かった。
が、それは嵐ちゃんによって、自信と度胸をつけられ、今はおどおどともしなくなったし、ネガティブな発言も全くしなくなった。
これは嵐ちゃんの言っていた通り、性格が変わった、わけではなく自信と度胸をつけただけ。
笹島さんの優しさや誠実さといった本来の性格が変わったわけじゃない。
「姫路くんの「男らしくして欲しい」って言ってたのはきっと性格を変えて欲しいってことだと思う」
「でも、性格を変えることはできない、ってことですよね」
「そう。寧ろ性格なんて変えるべきじゃないよ」
笹島さんの件と、今回の姫路くんの件は違う。
笹島さんは外見とオドオドして自信のないところ、のマイナスの部分をプラスにしただけ。
姫路くんは外見やマイナスと思われる部分なんてない。
だから、プラスにしようがないのだ。
「それに、きっと女の子の言っていた「正反対の男らしい人」っていうのは、姫路くんの性格のことではないと思うんだよね」
「料理とか裁縫とか女子って連想しそうなことが好きってところですかね?」
「うん、きっとそのことだと思う。だからってそれも変えるべきじゃないよね」
「そうですよね。もし、静音先輩がサッカー大嫌いって知っても、俺はサッカー大好きだし。辞めたくもありませんし」
例え好きな子のためであっても、自分の好きなことを捨てるべきではないと思う。