裏生徒会部


宮井について行き、次にやってきた部室には「美容部」と書かれているプレートがあった。

月桜は本当によくわからない色んな部活があるものだ。

宮井がドアを開けた瞬間、すぐに香水の匂いが広がる。


「こんにちはー。氷室先輩、いますか?」

「氷室くんなら今日はお休みよ。ってきゃー!王子くんじゃない!」

「えっ王子くん!?」


すぐに部室内にいた5~6人の女子全員が王子野の周りに集まる。

やばい…俺、ここまじで無理。

部室の中には入らず、外で待っていた方が良さそうだ。


『氷室先輩に王子くんを可愛くしていただこうと思ったんですけど…いないのであれば今日のところは…』

『何っ!?王子くんを可愛く!?』

『つまり王子くんにメイクとかしちゃっていいってこと!?』


急に大きな声が聞こえ、なにやらがやがやと騒がしくなってきた。


『え…えぇ、まぁそんな感じですが…私は氷室先輩にたのっ』

『私がするわ!!任せておいて!!』

『はぁ!?駄目よ!!あたしがするんだから!!』

『いいえ!王子くんをメイクするのは私です!』

『あ、あのー…』


段々と喧嘩口調になり、声の大きさも増していく。

宮井の困ったような声は全く届いていないだろう。


『ちょ、ちょっと皆さん、落ち着いてくだうわあああっ!?』


そんな王子野叫び声が聞こえ、宮井は黙ったまま部室から出て、ドアをそっと閉める。

俺が宮井を見ると、黙ったまま首を横に振った。

王子野…無事であれ。

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