裏生徒会部


次の日の昼休み。

「氷室先輩のアポが取れました」と宮井から連絡があり、また美容部へと集まった。

放課後は氷室の都合が悪いらしく、やむを得ず、昼休みとなった。

王子野は昨日のことがトラウマになったのか、部室の中に入るまで少し時間がかかったが…。

部室の中に入ると、宮井だけがいて、他は誰もいない。


「氷室ってやつは?」

「部室で待っていてと言われたんですが、どうやらまだ来ていないようですね。まぁ、氷室先輩はマイペースな方なので…」


マイペースな…。

そう言われると、果たして本当に来るのか不安になる。


「それにしても、昨日の王子くんは本当に可愛らしかったですね!」

「そ、そうかな…」

「はい!」


満足気な宮井に対し、あまり乗り気ではない様子の王子野。

どうやら昨日のような恰好をする事は初めてで、落ち着かなかったらしい。

似合っていなかった、というわけではないが…

正直俺も昨日のような王子野より、今の…普段の王子野の方がいい気がする。

というか、昨日の王子野は誰だかわからなかったぐらいだ。

着信音が聞こえ、携帯を耳にあてる宮井。


「もしもし、氷室先輩?今、部室にいるんですが……」


どうやら約束をしていた氷室のようだ。

遅れていることを謝るために電話でもしてきたのだろうか。


「……えっ!?そんな………はい…わかりました。では、明日は必ずですよっ!」


そう言って電話を切る。


「すみません。氷室先輩にドタキャンされてしまいました」

「は?」「え?」

「ですが、明日は必ず来てくれるそうなので…明日にしましょう」


まじか、氷室。

マイペースと聞いて嫌な予感はしていたが…まじか。

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