裏生徒会部
王子野が「そうなりたい」とか「それでもいい」とか思っているのであれば、俺はそれでいいと思う。
他人がとやかく言うもんじゃねぇし。
でも、もしも思っていないのであれば、止めてやりたい。
「…ごめん、柚希ちゃん」
「えっ!?ど、どうされたんですか?」
「折角、柚希ちゃんが協力してくれたけど…やっぱり私は今の私が好き。だからそのままの私を先輩に好きになって欲しいんだ」
「王子くん……。私こそすみません。勝手に色々決め進めてしまって…」
「ううん。私のために協力してくれてありがとう。柚希ちゃんと一ノ瀬先輩に頼んで本当に良かったと思っているよ」
「王子くん…!眩しい…!」
笑顔を見せた王子野は、仁のあのキラキラしたオーラの笑顔にそっくりだ。
王子というあだ名は本当に似合っている。
「放課後、頑張ってくるよ」と言い、王子野は教室へと戻って行った。
王子野を見送った後、隣からは溜め息が聞こえてきた。
「どうしたんだ?」
「やっぱり私は駄目ですね。一人で空回ってしまって。先輩やいっちー先輩みたいに上手く出来ません…」
「そんなことねぇよ」
「え?」
「あいつ…静音も大体空回ってるし、たいしてお前と変わんねぇ。逆にそのおかげで大事なことに気づけたんじゃないか?今回も」
「いっちー先輩…。やっぱりいっちー先輩はいい人ですね!」
「…さぁな。俺らもさっさと教室戻るぞ」
「はい!」
いい人、な…どうだか。
予鈴のチャイムが聞こえ、俺と宮井は急いで教室へと戻った。