裏生徒会部


少しの沈黙の後、再び口を開けたのは柊也だった。


「お前、好きな奴がいるんだろ?宮井から聞いた」


私の好きな人は柊也なのに。

もし、そうでなくてもどうして告白したことを忘れていいなんて急に言い出したのだろうか。

どうもその理由がわからない。


「…どうしてそれで忘れていいなんて言うの?」

「俺にどう接していいのかわからなくて戸惑ってるんだろ。だから忘れて気にせずに前のままでいろ」


ソファへと戻ろうとする柊也の袖を引っ張り、止める。

驚いたのか「え?」と柊也は声を漏らすと、体ごと此方を向いた。


「柊也。私の好きな人はね…」


初めて会った時は、とてつもなく冷たくて無愛想で失礼な人だと思った。

おまけに凄く女嫌いだし、面倒くさがりだし、生意気。

でも一緒に時間を過ごしていく中で、本当は世話焼きで、友達思いで、頼れる人だとわかった。

普段は冷たかったり、無愛想だったりするくせになにか困ったことがあれば助けてくれたり、心配してくれたりする。

きっと、さっきだって私の顔を見て、困ってると思ったからあんなことを言い出したのだろう。

…本当にずるいくらい優しい。


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