《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
「は? 
あの……どういうことですか?」



何かついてるならさっさと
取ってよ。



イラ立ちを隠さずに聞いた
のに、なんと次に伝わって
きたのは柊弥の手の感覚
じゃなく、ホワリと温かい空気。



髪にキスされたんだって
わかって、あたしは
ガバッと飛びのくように
振り返る。



「何を………!」



目くじらたてて文句
言おうとするあたしに、
柊弥はまぁまぁと両手をあげて、



「ちゃんと取ったって。

ホラ、これ」



そう言って柊弥が示した、
彼の右手の指先に
あったのは――。



「これ……桜?」



淡雪のように白に近い、
小さな花びら。
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