《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
「あぁ。

窓開けてるから入って
きたんだろ」



そっか。

春らしいって、このこと
言ってたんだ。



たしかにまだ満開の時期
じゃないけど、街のそこ
かしこでまばらに咲いた
桜を見かける。



「まだ咲き始めなのに、
春一番が飛ばしちゃったん
ですね――」



差し出された花びらを掌で
受けながらそう言うと、
柊弥は妙に艶っぽい笑みを
返して言った。



「風も桜も、誘われ
ちまったんだろ。お前にさ」



「は………? 
何言って――キャッ!」



言葉が思わずもれた叫びで
途切れてしまう。


柊弥が席を立ち、あたしの
腰に背後から手を回して
きたからだ。
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