《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
もっと近い、少し手を
伸ばせば触れそうな
くらいの距離で。



柊弥はその人――あたしが
誰だかわからないキレイな
女の人を見つめて、真剣な
顔で話してる――…。




(――誰……? その人……?)



何だか気が遠くなりそうだった。



視界に黒いモヤがかかって
めまいに似たような感覚が襲う。



それなのに……今見た光景
だけは、もうしっかり
脳裏に焼きついて離れない――。




……ずっと心のどこかで、
言葉にしようのない
胸騒ぎと不安を感じてた。



それが今、現実となってる。



(あたしに黙っていなく
なることも、こっそり
誰かと会うなんてことも。

今までそんなこと、一度
たりともなかったのに……)
< 113 / 227 >

この作品をシェア

pagetop