《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
そう言って柊弥があたしの
額の方に伸ばした手を、
あたしは反射的に手で払った。



『えっ?』って表情を
浮かべる柊弥に、取り繕う
ように、



「……こんな大勢の人の
前で、あんまり触ったり
しない方がいいですよ」



『社外でまで変な噂が
立ったらどうするんですか』



そう説明して、あたしは
先に歩き出した。

……柊弥の視線から
逃れるように。



「さぁ、もうイベントも
終わりですし、帰りますよね?

タクシー乗り場が混まない
うちに行きましょう」



柊弥の方を見もしないで、
ツカツカと出入口の扉に
向かって進んでく。



背中からあたしを追う
足音と声が飛んできた。
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