《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
「美香子さん……」



彼女になかば強引に手を
持ち上げられて、あたしは
促されるまま涙をぬぐった。



ほんの少しだけ明確さを
取り戻した視界の中で、
美香子さんは穏やかに
ほほ笑んで、



「それに柊弥、言ってたわ。

自分が今好きな人は、
すごく不器用なんだって。

だけどそれは彼女が今まで
人に自分をさらけ出さず、
孤独に生きてきたからで
……純粋さと優しさの
裏返しなんだって」




『オレは、そんなアイツ
だから――
愛しくて仕方ないんだ』




美香子さんの口を通して、
柊弥のその言葉を聞いた瞬間。



……もうあたしは、いても
たってもいられなかった。
< 165 / 227 >

この作品をシェア

pagetop