《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
そう思ったら、視界が
ぼやけるような感じがした。



沸き上がってきた涙を、
あたしは懸命に押しとどめる。



あたしの異変を知ってか
知らずか――

三浦さんはもう一度
あたしの肩をポンポンと
叩くと、優しい声でこう言った。



「香川さんが柊弥クンの
過去が気になるのは、
どうしてですか?」



「えっ―――!?」



“柊弥の過去が気に
なるのは、どうしてか?”



そんなこと、今答えられる
わけない。


秘書としての建前で言える
ことなんて、何も――…。



そう思ってたら、まるで
心の内を読んだかのような
的確さで次の言葉が紡がれる。



「あ、これは副社長秘書と
してじゃなく。

香川さん個人として
答えてくれていいですよ」
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