君がいれば・・・②
だが、荷物を持った瀬奈は男に追いつけるはずがない。



路地に入り、角を曲がると男の姿は見えなくなった。



「逃げられちゃった……」



泣きたくなる。



まさかスリにあっちゃうなんて……。



バッグに何が入っていたかを思い出す。



大丈夫、パスポートとかクレジットカードは部屋に置いてきている。



盗まれたのはお気に入りのバッグとハンカチ、ティッシュ。



それでも悲しい。



帰らなきゃ。



******



シンはスタジオで昼食を取り、衣装合わせをするとジフンから今日の仕事は無いと言われた。



「たまにはセナちゃんを息抜きさせてあげるといいよ」



「サンキュウ 兄貴」



ジフンの車に乗り込むと、実家に向かった。



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