君がいれば・・・②
こちらに駆けてくる姿は映画かドラマのようで瀬奈はキョロキョロと頭を動かした。



本当の撮影に思えたのだ。



「セナ!」



そうだ、呼ばれている名前はわたしだった……。



すっかり疲れていて頭が回らない瀬奈だったが、不安だった気持ちがすーっと無くなって行った。



周りの人たちが俳優パク・シンに目をとめた。



繁華街と違って客層が若くないので群がる事はしないが、皆に注目を浴びている事は確かだ。



「セナ、いったいどうしたんだ!?」



瀬奈の姿を見つけホッと安堵したシンは一息吐くと聞く。



「シン……どうしてここに……?」



シンがここにいる事が不思議だ。



「膝から血が出ているじゃないか!」



「あっ!そうだ わたしスリにあっちゃって」



帰ることに一生懸命だったのでスリの事は忘れかけていた。



膝の擦りむきで思い出す。





< 152 / 256 >

この作品をシェア

pagetop