君がいれば・・・②
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「お帰りなさいませ」


祖父が戻ってくると瀬奈はかりん茶を持って書斎へ行った。



「シンとユナの事は聞いたか?」


珍しく口を開いた祖父に瀬奈は驚く。



「は、はい」


お盆を体の前に置いて祖父を見る。



「やっぱり同じような育ち方をした者同士が結婚するのが良いと思う お前はもうあきらめて帰った方がいい」



瀬奈はお盆を落としそうになった。



震える指でしっかりとお盆を抱え直す。



「おじい様……シンは振りをするだけだと……」


声が自然と震えてくる。



「振りだけだと思っているのか?あの通り魅力的な娘だ すぐにシンの心はユナに向くだろう 捨てられて傷つく前に日本へ帰った方がいい」



瀬奈はきつい祖父の言葉に涙が出そうになった。



いくらがんばってもこの人は認めてくれようとしない……。



出てきてしまった涙を瀬奈はわからないようにそっと指で拭った。





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