君がいれば・・・②
その夜遅くにシンが帰ってきた。



瀬奈は自分の部屋にいてスーツケースに服を入れている時だった。



乱暴にドアが開けられて瀬奈はビクッと体を震わせた。



「セナ!」



瀬奈はいきなり抱きしめられて持っていたセーターが床に落ちた。



「セナ!すぐに来てあげられなくてごめん」



シンのいつものコロンが爽やかに香る。



瀬奈はその香りを大きく吸い込むとシンの腕から離れる。



「セナ?」



「シン……ごめんね もう限界なの わたし……弱虫だから」



話していると涙が出そうになって瀬奈は顔を背ける。



「セナは弱虫なんかじゃない この家が嫌ならマンションへ行こう パクの名前なんかどうでもいいんだ」



「シンっ!ダメだよ」



シンがそう言ってくれるのは嬉しい。



だけど韓国で暮らすこと自体が苦痛を感じ始めていた。



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