君がいれば・・・②
「セナの体の事は一言も聞かないんですね?」



これほどまでに祖父は人でなしだったのか?



「そうじゃったな?昨日の朝、倒れたとか?」



「そうです 倒れたのはすべて俺のせいなんです」



セナのあの苦しそうな顔を思い出すと胸が痛む。



「なぜお前のせいなんだ?」



「セナは数か月前に俺のファンに腕を刃物で刺された。それから刃物を見ると呼吸困難などの心的障害を起こしていたようなんです。それなのに何も知らずにセナはここで家事をしていたんだ。かなり辛かったはず」



セナさんが心的障害?


ユナはシンの言葉に驚いた。



「セナが我慢しているから……俺をパク家から出ないように頑張っていたから……ここでの労働を無理させていました もう俺達は周りの事は何も考えない事にしました これからは誰がなんと言おうと俺はセナを守ります」



シンは立ち上がった。



「失礼します」


「待てっ!」



祖父が止めるがシンは振り向きもせずに書斎を出て行った。



しばらく祖父は閉まったドアを茫然と見ていた。


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