君がいれば・・・②
「おいしそうっ」



ホテルのレストラン給仕がテーブルの上にセッティングして出て行くと瀬奈はテーブルに近づいた。



「全部わたしの好きな食べ物だね ありがとう シン」



白ワインをグラスに注いでいたシンは顔を上げた。



「食べようか」



瀬奈の所まで来るとイスを引いて座らせた。



細めのパスタにトマトの酸味がきいてパスタはとてもおいしかった。



ワインを飲みすぎてしまいそう。



グラスをつい空けてしまうと、シンが注ぐからだ。



「シン、もう飲まないから 後はシンが全部飲んでね?」



シンはといえば、あまり飲んでいないしいつもの旺盛な食欲も無いみたいに見える。



やっぱり疲れているんだ……。



「シン、食欲無いの?」



「え?いや、さっき会議中に軽食が出たから もしかして俺のパスタ狙ってる?」



シンのパスタを狙っていると思われて瀬奈は手を顔の前でブンブン振った。



「ち、違うよ なんか疲れているみたいだから」



「……瀬奈が帰ると思うとテンションが下がるからかな」



対面に座っていたシンが優雅な所作で立ち上がり自分の方へ歩いてくる。




< 31 / 256 >

この作品をシェア

pagetop