ハナウタ
これから一緒に食事をさせて欲しいと言う申し出を聞くと柏原君は何故かとても喜んでくれた。


「迷惑だなんてそんな…っ
もとはこっちから声かけたんだし、大歓迎だよ!」


いつになく慌てたりはしゃいだりしてる彼を見て、蒼岸君は「ほらな?」って笑った。
一緒に笑った僕を見て、柏原君は唐突に言った。


「楠木さんて、思いきり笑うとそんな感じなんだ」

「え?うん。…変かな」


「ううん!
ちょっと違う面が見れたなって、嬉しいな」


慌てて首を振った後に彼が見せた笑顔は、やっぱりとても綺麗で、

なんで嬉しいんだろう、

とか、

なんでこんな慌ててるんだろう、

なんて頭にあった疑問は、とりあえずどうでもよくなった。










彼は部活に戻り、僕と蒼岸君は帰途に着いていた。


「正直言うとさ、多分京介の好みっぽかったんだ。
だから京介が楠木をメシに誘ったんだよ」

「柏原君の好み?」

「そ、大人しくて、物静かで、女らしいしおらしーい子」

「…………」





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